トップ > 炎症性腸疾患(IBD)センターの概要

炎症性腸疾患(IBD)センターの概要

  • IBDセンターの概要
  • IBD教室について

西日本新聞2012年4月27日掲載

「炎症性腸疾患(IBD)」と福岡大学筑紫病院 消化器内科
松井 敏幸 教授のインタビューが掲載されました。

  • 「IBD(炎症性腸疾患)」と福岡大学筑紫病院 消化器内科松井 敏幸 教授のインタビュー

↑上記画像をクリックで、
拡大表示(PDF)をご覧いただけます。

炎症性腸疾患(IBD)センターの概要

寄附講座、炎症性腸疾患先端治療学講座の概要
講座責任者 久部 高司(福岡大学筑紫病院消化器内科)

本講座は福岡大学の寄附連携講座であり、その設立理念を要約すると以下の通りです。

  • 臨床では診療単位を構成し、「炎症性腸疾患(IBD)センター」と名乗り、外科と内科が連携してIBD患者さんの診療にあたります。
  • 増加するIBD患者さんの診療に当たる専門家を養成します。
  • 臨床各科と連携して先端的な治療を積極的に取り入れ、臨床研究を行います。
  • 患者団体や行政との連携をはかり、正しい情報を発信します。

設立趣旨

 炎症性腸疾患(IBD)はクローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)を指しますが、両者を合わせるとその患者数が全国で15万人以上と推定されます。以前は比較的まれな疾患と考えられていましたが近年患者数が著しく増加しています。
福岡県でも年々増加傾向にありまして、UC5,252名、CD1,624名(2010年3月31日現在・厚生労働省衛生行政報告例から)と多数が特定疾患受給者証を交付されています。

 本寄附講座は、一般企業から寄付された資金をもって設置されています。
福岡大学筑紫病院での栄養療法と免疫統御医療の研究、教育、診療の発展を目的に、産学協同で北部九州ならびに国内において臨床研究と高度診療を遂行することを目的としています。
本寄附講座は、本院の多岐にわたる臨床部門での炎症性腸疾患における栄養療法と生物学的製剤や免疫統御剤による治療のさらなる発展のため、「IBDセンター」を院内に設立し、本院の効率的な融合横断的診療科のクラスター化を計ります。本邦における生物製剤・免疫調整剤に関連する臨床研究、治療開発、治療啓発の拠点として、病院、消化器科、外科、内視鏡部と密接に連携してIBD患者の診療を行います。

 IBDは、難治性のため効果的な治療法が少なかったのですが、IBDを早期に診断して早期に免疫統御療法を行い、速やかに寛解を目指す治療戦略が世界的標準となりつつあります。その実践には、専任のセンターなくしては実現困難です。一方、薬物治療が進歩した現状でも手術治療を必要とする患者は多く、新しい手術法、狭窄解除を目的とした内視鏡治療の開発と確立も重要です。同時に、IBDの診断および治療にはいまだ未解決な問題が多く、更によりよい診断法、治療法の開発が望まれています。そのためには、本院内の複数診療科との共同研究が必要です。
一方、IBDの診療には、薬物治療や手術だけでなく、看護ケアを含めたトータルケアが非常に重要ですが、そのためには消化器内科と外科医師の共同のみでなく、IBD治療薬剤を熟知した薬剤師、ストーマケア専門看護師の育成が急がれます。また限られた医療資源で世界標準および本邦で最先端のIBD治療を実現させるためには、IBD診療に関わる医師、コメディカルおよび研究者が協力する「炎症性腸疾患(IBD)センター」の設置が必要です。更に、医療者、IBD患者とその家族および一般大衆に対して、IBDという疾患の認知を促し、啓蒙していくことは重要です。すなわち、炎症性腸疾患に関する先進的な治療、効率的な研究、組織だった教育の実践をこの講座設立の目的とします。

業務内容

 本講座では、臨床部門として「IBDセンター」を持ち、最新の治療法を実践し、患者QOLを高めるための集学的診療を行い、同時に臨床的研究や治療戦略構築のための研究、学生、医師、コメディカルを含めた医療者、患者およびその家族、一般大衆に対する教育を行います。また臨床および研究両面で、学内、地域内あるいは広域で他部門、他院、他施設との連携を積極的に行います。

教員
  • 炎症性腸疾患センター・消化器内科 5名:久部高司、髙津典孝、古賀章浩、武田輝之、三雲博行
  • 外科 1名 :東 大二郎
診療
  • IBD患者に対する積極的な薬物治療の導入
  • 重症IBDあるいは合併症患者の入院加療
  • 手術を要するIBD患者の手術治療と術後管理
  • IBDの診断と治療に関するセカンドオピニオン対応
研究
  • 特定治療プロトコール研究やコホート研究
  • IBD患者に適した、内視鏡治療などの開発と臨床治験
  • IBD患者のデータベースの構築とそれを用いた先進的な臨床研究
  • IBDの病態解明、新たな診断法と治療法の開発研究
教育
  • 若手医師研修、IBD専門医師のための教育研修施行、専門看護師や臨床工学士の育成
  • IBD患者および家族に対する啓蒙講演会
  • 院内および院外でのIBD講演会、研修会実施
  • 一般大衆に対する啓蒙活動
連携
  • IBD治療に関する病診連携
  • 他院、他施設との臨床、研究での広域連携
  • 日本における多施設共同研究の主導や参加

本講座に期待される成果

 IBDに特化した専任講座を作ることで、より先進的で効果的な集学的治療が可能となり、今後新たに導入されるIBD治療薬、検査法、内視鏡治療などのデータ解析が容易になります。

人員増加と新たな外来設置により、一般診療所では困難な患者を「IBDセンター」に近隣県地域から受け入れることが可能となり地域医療に対して貢献します。臨床研究により先進的IBD治療のエビデンス作りに貢献できます。

本センターで教育を受けた医師やコメディカルが関連病院のIBD治療に中心的な役割を果たすことができます。 地域連携だけでなく、広域の他施設と協力することにより、IBDの治療、臨床研究、基礎研究、教育を進めていくことができます。


IBD専門外来
  • IBD専門外来月曜日、木曜日午前中(新患)、午後(再来)を行っています。
  • 新患外来は予約制です。下記までご予約ください。
    福岡大学筑紫病院地域医療支援センター
    TEL:092-921-1011(代表)
    FAX:092-921-0910