治療について
消化管グループの内視鏡治療
当科では、咽頭・食道・胃・小腸・大腸疾患に対するあらゆる内視鏡治療を行っており経験も豊富です。
内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)
食道・胃・小腸・大腸の比較的小さなポリープや早期癌に対して行う治療法です。
平均で2泊3日程度の入院が必要です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリペクトミーできないようなやや大きな病変を対象とする治療法です。
従来より行なわれている咽頭・食道・胃・小腸・大腸の腫瘍(腺腫および癌)の内視鏡治療であり、平均で2泊3日程度の入院が必要です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
新しい内視鏡的切除方法で、当院では九州でも屈指の豊富な経験があります。
EMRでは切除できないような大きな食道・胃・大腸の腫瘍(腺腫および癌)に対する内視鏡的治療です。
平均で7日程度の入院が必要です。
内視鏡的バルーン拡張術
炎症性腸疾患を代表する小腸・大腸の狭窄に対して、内視鏡的にバルーンを用いた拡張術をおこなっています。 食道炎や十二指腸潰瘍に伴う狭窄に対しても適応となります。
内視鏡的止血術
胃・十二指腸潰瘍や大腸憩室・小腸出血などあらゆる消化管出血の緊急処置を行なっています。
内視鏡的異物除去術
患者さんが誤って飲み込んでしまった異物(魚骨・入れ歯・コインなど)を、内視鏡的に除去します。
経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)
脳卒中後遺症や超高齢者など、経口摂取が困難な患者さんに内視鏡を用いた胃瘻造設を行なっています。
手術による胃瘻造設に較べ患者様の負担の少ない方法です。
肝胆膵グループの治療
グループの主な治療は以下のように大きく6つに大別されます。
肝細胞癌の治療
ソナゾイド®による造影超音波検査やプリモビスト®による造影MR検査で非侵襲的に、あるいはMultiditector-CT(MD-CT)で肝細胞癌の診断を行っています。
経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)や肝動脈塞栓術(TACE)の併用療法を積極的に行うことで良好な治療効果を上げています。
ウイルス性肝疾患の治療
C型慢性肝炎の治療は、ペグインターフェロン製剤とリバベリンとの2剤併用療法により、難治例である1型高ウイルス例の血清中HCV-RNA陰性化率は約50%に,さらに昨年末に保険収載されたテラプレビルを加えた3剤併用で約80%に改善します。
最近、血小板数低下症例に対して部分的脾動脈塞栓術を用いて血小板数を増加させた後を行っています。
B型肝炎の治療は、核酸アナログ製剤の登場により慢性肝炎ばかりでなく、肝硬変でも肝病変が改善しています。
食道胃静脈瘤の内視鏡治療
食道静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法や内視鏡的結紮術を施行していますが、待機例だけでなく緊急例(出血例)に対しても積極的に対処しています。
さらに胃静脈瘤に対して待機・予防治療として内視鏡治療や放射線科と一緒にカテーテルを応用した治療バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を行っています。
総胆管結石の内視鏡治療
総胆管結石に対して積極的に経乳頭的治療(内視鏡的乳頭切開術)を施行し、上部消化管切除術後症例に対しては、主に経皮経肝的胆道ドレナージ(PTBD)後に経皮経肝胆道鏡下の電気水圧衝撃波破砕術あるいはダブルバルーン内視鏡下に乳頭拡張術後に截石を行っています。
全て内視鏡下に截石できています。新病院では体外衝撃波結石破砕術(ESWL)も導入されるためさらに選択枝が増えることになります。
悪性胆管狭窄、悪性十二指腸狭窄の内視鏡治療
胆膵悪性腫瘍や消化管悪性腫瘍による胆管閉塞に対して、カバード胆管ステント(金属ステント)を留置し、さらに腫瘍の十二指腸浸潤に対して、本年4月から保険収載された十二指腸ステント(金属ステント)を積極的に導入し、良好な成績が得られています。
膵腫瘍の治療
腹部超音波検査,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を駆使することで小膵癌を発見してきましたが、最近、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が膵癌のマーカーとして注目されています。
検診などで発見された膵嚢胞に対してMRI・ERCP・超音波内視鏡(EUS)を用いてIPMNの診断と悪性度評価を行うとともに膵癌の発見に努めています。
進行膵癌に対しては、経皮的膵生検で組織学的に確定診断した後に外来化学療法を行っています。
使用できる抗癌剤の種類も増え、生存率も改善しています。